オーストラリアのクリニックで働く日本人理学療法士!江戸PT

協力隊以外の海外活動特集ということで前回のドイツに引き続き、今回はオーストラリアからです。オーストラリアの個人クリニックでご活躍されている理学療法士の江戸英明さんにお届けして頂きます。

今回、他国のリハビリテーション事情の特集にあたって、オーストラリアの理学療法事情を紹介させて頂くことになりましたが、私が勤めているクリニックは筋骨格系(Musculoskeletal)疾患を専門に見ている個人経営のクリニック(日本でいう整形外科外来クリニック)ですので、その視点からの紹介となります。

ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、オーストラリアでは理学療法士によるDirect access(ダイレクトアクセス:患者様が医師を介さず直接、理学療法士の受診を受けられること)が認められています。そういったオーストラリアでの理学療法士経営のクリニックは一般的であり街中でもよく「Physiotherapy」という看板をよく目にすることがあります。

ちなみに私が現在働いているクリニックでは理学療法士が7名いて、国籍もオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、日本、シンガポールと様々な国から来たセラピストがこちらで働いているといった状況です。オーストラリアは多国籍文化の国であり、そのため患者さんで現地のオーストラリア人以外でも担当するといったことは珍しくありません。そのため、英語はもちろん自分の言語が使える可能性も十分にあります。

それでは、実際に理学療法士として求められることは何なのか、私の経験を含めながら紹介していきたいと思います。まず、先ほど述べたようにダイレクトアクセスが可能なオーストラリアでは診断学を学ばなければいけません。診断名を下す際に、まず主観的評価によってその患者様がどういった症状を訴えているのか問診し仮説を立て、その仮説を確認/否定するのが客観的評価となります。

これは一般的に知られているクリニカルリーズニングというもので、こちらの大学の授業ではこのクリニカルリーズニングにかなりの時間を割きます。そこで、これらの主観的評価、客観的評価より推測される診断名を出した後、その患者様が理学療法適用であるかどうかを判断します。ここでRed flag (レッドフラッグ)といって、患者様の訴えている症状が理学療法の介入によって改善が可能かどうかの判断も行います。

Red flagに関連した話として、私が経験させて頂いた一例を紹介したいと思います。14歳の女子学生がチアリーディングの演技中で土台になり他の生徒を支えていたところ、他の生徒が転落しその子の頭上に落下、その後急性の頸部痛、めまいなどを訴え翌日に私が働いているクリニックに来院されました。評価の詳細は割愛させていただきますが、評価を行ったところ単純な頸部痛(鞭打ち)よりも症状が重度であったため、関節モビライゼーションなどの治療は行わずX線のオーダーを出しました。数日後、頸椎剥離骨折が見つかりその後のマネジメントとしては理学療法ではなく医師を介した上で骨折のマネジメントが必要となりました。

こちらの理学療法士として求められる要素のなかに、理学療法の適応かどうかを判断するための知識と技術の取得が含まれています。X線やMRIへの紹介状もこちらの理学療法士の判断によって可能です。ただ、ここにも患者様への心理的作用の面や、経済的負担などを考慮した上で必要以上に紹介状を出さないように工夫するといったことも求められています。

このように、オーストラリアで理学療法士として働くことは多くの責任が伴うことになりますが、そういったことも含めて全て成長の過程であると思って日々臨床に励んでいます。まだまだ学ぶことは日々ありあますが、これからもそういった情報を発信していけたらと思います。それでは長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。See ya !!

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