協力隊のようなボランティアは時代遅れなのか?

昨日、JOCVリハビリテーションネットワークのセミナーが開催されましたが、その後の懇親会で、

途上国との関わりで協力隊しか選択肢がないのか?

これまでの協力隊の経験は実際どう活かされているのか?

ODA頼みばかりではもう限界では?

という話題になったテーブルがありました。

中々面白く、有意義な意見交換をできたのですが、せっかくの良い機会なので、改めて協力隊のようなボランティアの関わりについて考えてみたいと思います。

協力隊以外の選択肢

協力隊以外の選択肢ですが、本当にもっとあって良いと思います。ボランティアが全てではいけないですよね。最近では北原国際病院のようなPTが途上国で勤務する形も出てきましたが、これからもっと増えてほしいところです。

新しいプラットホームを作っていく人がきっとこれから出てくるのだと思います。

協力隊の限界

協力隊の経験が活かされていない、というのは何を持って判断するかで全く異なる結果が出るかと思いますが、確かにこれまでの経験が個人レベルで帰結してしまっているという点では否めない部分もあるように思います。

現地における活動ではボランティアのような関わりでは出来ないことも多く、民間ベースでしっかりと収益を出さなければ持続可能なサービスは提供できない、そう思ったことも多々ありましたし、今でもそう思っています。

協力隊のようなボランティアだから出来る事

が、しかし、ボランティアだからこそ出来ることがあるのも事実です。

その醍醐味はエスノグラフィー的な関わりが出来るというものだと思います。

エスノグラフィ―というのは、人びとの暮らしや仕事の現場で場をともにしながら生活や行動を観察し、実際の状況を知ることを言います。文化人類学や社会学で生まれた調査方法論です。

マクロな視点でみる量的指標ではなく、ミクロな関わりから分かる質的指標を大事に出来るのは、相手にとって利害関係の少ないボランティアだから出来る事なのです。

毎日の生活習慣を知る。
一般の人達の興味、関心を知る。
障がい者の生活の困難さを知る。
医療従事者の労働環境を知る。

たくさんあります。現地語が分かり、共に生活、仕事をして初めて実感できることなんですよね。

正直、こういったことは1週間、1ヶ月程度のトップダウンの調査では分からないものだと思います。

だから、協力隊の2年間というのはボランティアとして奉仕するということだけではなく、現地のリアルな状況をしっかり体感することが大事なのです。

しかし、その情報も比較や仮説があってこそ生きるものなので、マクロな調査結果(厚労省やコンサル会社の統計情報)では〇〇だけども、実際の現場では××なんだよねと、常にマクロとミクロで対比できるようなロジックを持っておくと良いかもしれません。

マクロな情報はJICAのナレッジサイト(JICAが行ったプロジェクトや調査の報告書がまとまっているサイト)からもたくさん調べられますので、事前に自分が行く国の情報を把握しておくと良いです。

あなたの関わり方は?

ボランティアだろうだが、何だろうが、自分自身がどのような立場で関わっていくのか?ただそれだけの話であって、影響力がどこに及ぶかの違いです。

協力隊のようなボランティアは現場の支援をし、エスノグラフィー的な情報収集をすることが基本になるのだと思います。

もちろん、ボランティアが大きい仕組みを変えるのは難しいです(不可能ではありません)。大きい仕組みを変えたいのであれば、協力隊のようなボランティアのような関わりは向かないと思います(稀に国を動かすようなことをやってのける人もいます)。

仕組みを変えたいのであれば、JICAや大規模のNGO専門家、コンサルタント、現地での起業、そういった選択肢の方が良いかもしれません。

ただそういった方々も、協力隊で現場を経験している人も少なくありません。

最初に2年間現場を観て、エスノグラフィー的な関わりから具体的な問題意識を高めて、専門性を身につけていくという方が多いように思います。

最後になりますが、国際協力、途上国支援、グローバルヘルスなどと言うと、何だか壮大なテーマで、どうしても大風呂敷を広げたくなってしまうのですが、まずは自分自身の立ち位置をしっかりと把握し、確実に出来ることを積み上げていくことが大事なことだと思います。

執筆者:小泉 裕一 理学療法士

リハレポ運営代表。青年海外協力隊員として2012年6月~2014年6月までモンゴルに派遣されていた。帰国後は講演会や国際リハ関係の様々な企画を手掛けている。

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