ヨルダンに住む障害のある子供を取り巻く環境

アッサラームアライクム(アラビア語の挨拶)

今回はヨルダンで活動中のT.O.が現地の情報をお届けします。

私の任地は、首都から60㎞離れた北部の街です。活動先は地域にあるリハビリセンターで、身体障害のある子供が理学療法の対象者になります。(写真①)

観光客で賑わうヨルダンのペトラ遺跡

写真① 観光客で賑わうヨルダンのペトラ遺跡

日本とほとんど変わらない?? 違うのは・・・

対象となる子供の多くは、病院からの紹介で当センターに来ることになります。その子供は早産や難産が原因で障害を持つことが多く、病名だけでみると日本と大きな違いは感じません。

一方で子供を取り巻く環境に日本との違いを感じることが多くあります。(写真②)

ヨルダンの特別支援教育を受ける子供達

写真② ヨルダンの特別支援教育を受ける子供達  

 

子供を取り巻く環境①~ヨルダン家族の特徴~

ヨルダンは大家族が多く、子供が8人いる家庭も珍しくありません。また親戚付き合いが濃いことも特徴といえるでしょう。このような家族事情は介助者が確保しやすいという点において障害のある子供にとって利点になっています。子供を連れてきた人が母親かと思っていたところ、実は親戚のおばさんだったということも珍しくありません。

また介助者の特徴は、二言目には「家で何をやればよいか?」と積極的に聞いてきてくれることです。日本に比べ、医療・介護サービスが充実していない分、自分達でやる、という意識が強いのかもしれません。(写真③)

子供の理学療法に母親と祖母が毎回一緒に来る

写真③ 活動の様子(子供の理学療法に母親と祖母が毎回一緒に来る)

 子供を取り巻く環境②~社会参加の難しさ~

活動上、幼児期から学齢期の子供に関わるので、就学について考える機会が多くあります。ヨルダンの幼稚園・学校の問題点の一つとしてバリアフリーが進んでいないということがあげられます。学校の中には、アラビー式トイレ(日本でいう和式トイレ)しかない、段差解消のスロープがない、という状況がほとんどです。そのため学齢期にも関わらず、車椅子に乗っているために学校で教育を受けられない、といった子供が多くいます。(写真④)

ヨルダンでは一般的なアラビー式トイレ

写真④ ヨルダンでは一般的なアラビー式トイレ  

 

子供を取り巻く環境から考える課題と今後の活動計画

家族が多いことは子供の面倒をみる人がいるという点では利点ですが、かえってその状況が子供たちの自立に向けた社会保障の基盤づくりを妨げているようにも感じています。

障害のある子供達が平等に教育を受け、社会へ出るチャンスを得るには、まずその家族が社会に存在する障害を正しく理解することが必要であると私は考えています。

家族の障害理解を進めるために今後の活動計画では、障害のある子供をもつ家族を対象とした親の会を発足する予定です。家族間の情報共有や正しい理解を進めていくことによって障害のある子供も平等に社会参加できる地域作りの手助けをしていきたいと思います。

それでは、また報告できる日まで。

マアッサラーマ(アラビア語で、さようなら)(写真⑤・⑥)

理学療法室の風景1

写真⑤ 理学療法室の風景1

理学療法室の風景2

写真⑥ 理学療法室の風景2

 

執筆者 T.O. 任国ヨルダン

経歴

H23 国際医療福祉大学福岡リハビリテーション学部理学療法学科卒業

H23-25 医療法人社団 高邦会 高木病院勤務

H25-26 社会福祉法人高邦福祉会 柳川療育センター勤務

H26-27 医療法人社団 高邦会 やながわ訪問看護ステーション勤務

H27~ 青年海外協力隊としてヨルダン派遣(現職参加) 

*安全上、名前をイニシャルにしています。

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