田村OTによるチュニジアの福祉事情紹介

Asslema!(アッスレーマ!)こんにちは。チュニジアから作業療法士の田村がお届けいたします。

チュニジアも協力隊員の派遣されている多くの国がそうであるように、「バリアフリー」という考え方はほとんどありません。例えば、首都であっても歩道が舗装されていなかったり、建築用の煉瓦や街路樹で道が塞がれていたりと健常者も歩くのが危険なところが多くあります。もちろん、信号もほぼ存在しません。そのため、耳の聞こえない知的障害の子が車に向かって手を出し、「止まって」とジェスチャーで示しながら危険と隣り合わせで外に出ている姿も目にします。交通機関を利用出来ず、杖歩行でモスクを目指し1時間近く歩くお年寄りもいます。

また、チュニジアには障害者に対して機器の購入補助や経済的補助、普通校への統合教育などが掲げられた法律があります。しかし実際は、これらが機能しているとは言い難い状況です。街では障害を示すカードを持って物乞いする人を多く見かけます。車椅子なども経済的に余裕のある者のみが所有していることが多く、その代わりに街では車のシートや廃材を使った電動車椅子のようなものも数多く目にします。

他にもサポートの希薄な中で行われる安易な統合教育により、また現在の国の決まりでは30歳までしか障害者施設に通うことが出来ないことで二次的な精神疾患を患う者もいます。私の働く施設もこの法律の下にあるのですが、国から支払われるはずの先生や専門職のお給料が急に何ヶ月も止まることもあります。それでも、無給で働き続ける彼らは本当に尊敬すべき存在です。

チュニジアといえば「アラブの春」の発端となった国ですが、この法律の管轄先である社会問題省(日本で言う厚生労働省)が革命後は労働者問題の対応に多くを占められ、障害者部門がおざなりになっていることも原因の一つです。

その一方で、日本に比べ家族の結びつきが非常に強く、どんな人間関係よりまず家族というのがチュニジアの特徴です。今はそれが社会保障の穴を補っています。ただ、イスラム社会で家にいることの多い女性にその負担が集中するのも事実で、活動では子どもたちにとって最大の環境である母たちの支援に今後も力を入れていきたいところです。

それでは今日はこのへんで、また。Bisslema!(ビッスレーマ!)

第3回チュニジア田村②第3回チュニジア田村③

第3回チュニジア田村①

 

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