タイ川副PTが感じた異国でのコミュニケーション事情

กินข้าวหรือยัง(ギンカオルヤン?)もうご飯は食べましたか?タイから理学療法士の川副がお届け致します。

冒頭の挨拶より、いきなり「ご飯食べた?」って不思議だと思われたかもしれませんが、タイでは身近な人とよく交わすフランクな挨拶です。びっくりですよね。さて、本日は活動中にコミュニケーションにおいて大切にしていることを書きたいと思います。

1.自尊心を傷つけない。
タイ人は自尊心が高い気質を持っています。敬虔な仏教徒であり、王室をとても尊敬しており、家族や友人を大切にし、目上の人に接する時は常に敬意の心を忘れません。年功序列や学歴も大切にしており、第3者の前でタイ人を叱ることタブーとされています。私が同僚と話す際には必ず否定する様な言い方はしません。また、臨床で助言を行う時も冷静に詳細な理由を聞いた上で、相手を立てながら気持ちよく聞いてもらえるように工夫しています。例えば難しい症例について助言する際は、「難しい症例だけどとても良い経験だね。この経験は将来のためになるよ。こんな経験を沢山したらあなたはもう大学の先生だね。私も経験したいから一緒に考えさせて。」などと、少し大袈裟に冗談を交ながら助言しています。

2.愉快に明確に伝える。
タイ人は愉しいことを好みます。素晴らしい内容プレゼンでも、単調で、面白くなければ興味を持ってもらえません。タイの有能な人は、人を惹きつけて話すのが非常に上手で、会場は笑いが溢れます。私にとってタイ語で面白くプレゼンするのは難しいので、口頭での説明は少なくし、自分が得意である写真や動画を多用し、タイ人が好むようなイラストやスライドデザインを用いて、興味を惹くようにしています。また、説明が中途半端で曖昧だと受け入れてもらえないので、日常でも自分の意思表示を明確にています。自分の気持ちは遠慮せず明確に、ユーモアを加えて伝えることを大切にしています。

3.意見を引き出す。
タイでは社会的地位の低い人が高い人に対して、ストレートに意見することは多くありません。年下が年上に対して、患者が医療従事者に対してなどが良い例です。同僚や患者は本音を言わないことがあります。私は外国人のため違う対応をされることもありますが、私の提案や助言を同僚がどう思っているか分からないことや、患者さんが抱える悩みの本質が分からないことがあります。彼らの本音や本質を掴むために、話しやすい環境を作ったり、質問を工夫しています。例えば同僚と話す場合、大勢の前ではなく、食事に誘い二人だけで話したり、患者であれば同僚や家族、友人と一緒に話をしています。

4.状況を考える。
要求を伝える場合、相手の状況をよく観察してから行動を起こすようにしています。タイ人は日本人と比較して個人主義と言われています(日本人は集団主義)。一概に全てタイ人がそうではありませんが、自分のことを大切にするため、機嫌が悪い時は話を聞いてくれません。不都合なことは優先してくれません。実際にこのような事が多々ありました。そのため、自分の要求を伝える時は相手の機嫌が良い時や、仕事がひと段落した時間帯を見計らって話し掛けています。また、相手の都合が良い時に読んでもらえるようメモにし伝えています。そして、一緒にお菓子などを添え、感謝の気持ちが伝わるようにするとタイ人は喜んでくれます。

5.マイペンライ
タイ人気質を表現する時によく使われるのがマイペンライ気質です。マイペンライとは、「大丈夫です」、「問題ありません」、「気にしないで下さい」、など沢山の意味があります。微笑の国タイならではの気質だと思います。寛大でいいのですが、困ることもあります。個人主義のためか、情報共有が徹底されておらず、業務の予定が急に変更になったり、内容がまったく違うものなったりします。渋滞や洪水などイレギュラーなことも多いため遅刻もしばしばです。勝手に人の物を使うのは普通です。悪いことをしても謝りません。自分の非は簡単に認めません。逆に「マイペンライでしょ?」と言われます。また、タイ人は知らなくても知っていると言ったり、分からなくても頷いたりするため、タイ人に道を尋ねるとまったく見当はずれの場所に着く場合もあります。活動当初はタイ人の気質や感覚に馴染めませんでした。しかし、郷に入れば郷に従え。遅刻や急な予定変更もマイペンライ、自転車を勝手に使われてもマイペンライです。寛大な心と臨機応変であることがタイにおいて大切だと思います。

タイだからといって特別なことではないと思いますが、母語以外の言語でコミュニケーションを図ることは非常に難しいことでした。タイのボランティアからは、タイ人とのコミュニケーションが難しいとよく耳にします。私も価値観や気質の違いによって悩むことが多かったと思います。しかし、信頼関係を築きながらタイ人の気質を受け入れることで、悩みは少なくなりコミュニケーションが円滑になりました。このような経験は、異文化理解をしながら活動していく、協力隊の一つの醍醐味だと思います。最新の技術や知識を得られませんが、日本では得られない自分の成長に繋がる経験だと思います。

大分長くなってしまいました。それではこの辺で失礼します。ฝันดีนะ(ファンディーナ)おやすみなさい。

第4回川副②第4回川副①

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