リハレポ150号 途上国へ来る前に勉強しておけば良かったことは? ニカラグア山田PT

Buenas tardes.(ブエナスタールデス。)こんにちは。ニカラグアから理学療法士の山田がお届けいたします。

私は理学療法士として、今ニカラグアのロス・ピピートスという団体に所属し、0歳~30歳代の障がい児達のリハビリに携わっています。ニカラグアのリハビリテーション事情を知るにつれて思うことがあります。それは、もっと他分野に渡った知識を持っていれば、という後悔でした。

ニカラグアには、理学療法士養成学校が、首都マナグアに1大学のみ存在します。毎年の理学療法士輩出は30~50名で、ニカラグアで理学療法士資格を持つと自分で診療所を立ち上げることも出来ます。しかしながら、ここニカラグアには作業療法士、言語聴覚士養成校が存在しません。そのため、各病院、施設に勤める数少ない作業療法士、言語聴覚士等は全員がニカラグア以外の海外での資格取得者、もしくは施設によっては国内の講習会等で知識を勉強しているものの資格取得に至っていないことになります。

私の勤める団体にも無論、作業療法士、言語聴覚士は存在しませんが、各々の需要は大変高く、同僚の理学療法士、そして助手かつリハビリ室の責任者でもある1名の母親と私で、試行錯誤しながらこの2分野の診療に携わっています。日々こどもたちの反応を見ながら、疑問点は多々上がります。その度に、理学療法の一局面だけでなく、総合的な知識を持っていたら、同じ試行錯誤にしても幅が広がっていたかもしれない。と思うのです。

ただこの後悔を元に、今一度、療育、リハビリテーションとは、というところに立ち戻ることが出来る経験をさせてもらっている気持ちもするのです。所属するロス・ピピートスの理念は障がいをもつ子の親、家族が彼ら自身の手でわが子を療育し、可能な限り社会へ導くというもので、いつも、いつまでも知識をもった専門家が従事して、そこにわが子を預ける、任せるわけでなく、親、家族自身が主体となって専門家から得た知識でもって継続した療育が可能なように勉強していくこととしています。

しかしながら、私自身、頭では理解していながら、この理念に身体がなれていないことにも気がつきました。それというのも、今までは、こどもがリハビリ室に来る、自分が主体となってこどもを診る、親は少し横でお話しながら観察する、が知らぬうちの私の診療の普通になっていました。ここでは、こどもが来る、母親が半ズボンに着替える、母親がこどもを診る。私達療法士は一緒に参加する、もし注意点などあれば助言しながら、その場で修正するという形を実践しています。最初は専門家でありながら自分の出来ることを怠っているような気持ちになり、思ったよりも身体でこの理念を理解するのに時間がかかりました。しかし1年経った今では、母親など家族参加型のリハビリに身体が慣れてきました。、本当の意味でこの子やこの家族のためとなること、時間のかかる長い道のりである療育の最終にはどんな風になっててほしいかなど、少し先を想って携われるようになった気がします。

具体的には、作業療法士、言語療法士がいない、知識がない、という状況をなげくだけでなく、では、目の前のこどものこの反応や言動について、どうしてだろう、より焦点をしぼって、その子と今この瞬間向き合う一人の母親の視線(こどもを持ったことがないので想像でしかないです)で解決策を探っていくという形です。インターネット、本、隣県の療法士交流、当団体内勉強会などを通じて、出来る限りヒントを集めつつ、目の前の子と母、家族にはどう当てはめられるか、工夫することをこれからも大切にしていきたいです。どんな問題に対しても何らかの形での解決策は得られる。これはニカラグアで出逢った大切な人が教えてくれました。また、考え方を変えれば、自分に知識が不足しているからこそ、色んなことに気づけているのかもしれません。
150ニカラグア山田① 150ニカラグア山田②

 

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