タイで座位保持装置を伝統的クッションで作成してみた!
สวัสดีค่ะ(サワディーカー)
こんにちは。タイから作業療法士の野口がお届けいたします。
今日は私が現地で作成した福祉用具を紹介します。
施設の車椅子事情
私の活動先の知的障害児施設には、1割程身体に障害を持っている子どもが入所しています。しかし、車椅子は大人用しかなく、身体のサイズに合わない車椅子に乗らざるを負えません。そんな子どもたちの中の1人に、Aくんがいました。
食事の時間、介護士は、車椅子上で横に倒れたり、滑り落ちそうになるAくんを何度も座り直させながら食事介助をしていました。そこで「食事の時間、座っていられる為のシーティング※」を行うことに。
そこで目を付けたのが、寄付で有り余っていたタイの伝統的なクッション。
いざ作成!
これで座位保持装置を作ってみました。このクッションの優れている点は、①程よい硬さ、②中身が蜂の巣のように仕切られて、各々に綿が詰められていることです。
それにより、対象児の身体の大きさ・特徴に合わせて綿を抜いてクッションの形を変えたり、綿の量を細かく調整することが出来ます。形や綿の量を調整したクッションを、Aくんに合うように複数個組み合わせて縫い合わせます。さらに食べ物がこぼれて汚れないように、クッションにサランラップを巻き付けました。(私はもう少し別素材のカバーが良かったのですが、破れても何度も巻き直せて便利だと同僚が強く勧めてきたので採用。タイではラッピングによくサランラップが登場します。)
クッションの中身の様子と完成品がこちら。
座位保持装置の他に、①座面のたるみはリハビリ隊員御用達の段ボールで解消(他隊員のブログhttp://ameblo.jp/nolook7/entry-12033783268.html参照)、②骨盤ベルト位置の変更、③フットレストの設置をしています。
そしてAくんが座るとこんな感じです。
出来上がったものの・・・
介護士からは「車椅子が大きすぎるとは思っていたが、しょうがないと思っていた。」「食事介助中に姿勢を直さなくて良いので楽になった」と言ってもらえています。
しかし、Aくんのために作成したこの座位保持装置は「首が後ろに倒れる」「暑い」「他の子どもがカバーを破く」等、まだまだ改善点もあり、これからも試行錯誤しながら改良していく予定です。
※座位保持装置:本来は公的な給付を認められている補装具のひとつであるが、臨床的には障害児に合わせて個別に作成される椅子の総称として使われることが多い。(「発達障害と作業療法」より)
※シーティング:車椅子や座位保持装置などの座るための道具全般と座位姿勢を援助する技術を含めた用語。(「発達障害と作業療法」より)
それでは今日はこの辺で。さようなら。สวัสดีค่ะ (サワディーカー)