被災地で協力隊経験を活かす。南相馬で奮闘する清山OT!
チュニジアから帰国後、南相馬市で活動を展開されいてる清山さんがお届けします。
皆さん、こんにちは。平成21年度2次隊のチュニジア共和国OV、OT清山真琴です。
私の協力隊時代を振り返ると、訓練終盤でのパキスタンからチュニジアへの任国変更、チュニジア任期中のアラブの春による本邦退避、退避中に起こった東日本大震災。自宅待機中に行った二本松訓練所や気仙沼でのボランティア活動。再赴任後、治安悪化のため任地変更など、いろいろな事が起きました。
激動の2年半でしたが、駒ケ根・二本松の両方で訓練を受けられた事、全世界に同期がいたこと、支えてくれる人がたくさんいると気付いた事、想定外の事も想定内と言えるぐらい動じなくなったこと…、など得るものも多くありました。
任期中は、限りある資源をどのように有効に使うか、お酒も入手困難で夏は50度を超える任地でどう適応して行くか、セラピストのいないこの村で自分が帰国した後はどうするか、など見極める力、適応しようとする力、視点を変え発想する力などを培ったように思います。(インシャアッラー(神の思し召しのままに)という考え方も!)
帰国後は、東日本大震災の避難所で出逢った福島県民の皆様のお力添えをしたい!これもアッラーの思し召しだ!と、イスラム教徒的な発想で福島での就職を決意。臨床ではなく『地域』で働ける場所を探しました。宮崎の口蹄疫や鳥インフルエンザの被害が出た時に全国の皆さまからご支援頂いたので、今度は自分が恩返しをしたい!という想いもありました。
そして念願かなって、「福島県精神保健福祉協会 ふくしま心のケアセンター南相馬駐在」の専門員として、原発からほど近い福島県南相馬市という市でOTとして活動しています。
≪対象者≫
東日本大震災で被災した方々。
≪活動内容≫
・遺族やPTSDの市民への個別訪問。
・生活不活発病予防のための体操教室。
・警戒区域内の方々を対象としたサロン活動
・仮設住宅の集会所で自殺予防目的の啓発活動
・乳幼児健診で粗大運動面での保護者相談対応
・幼稚園・保育園巡回で担任への身体を使った遊びの提案
など行っております。
縁もゆかりもない東北での生活も2年半になろうとしていますが、「協力隊経験が役に立っているよな~」と痛感する事は多々あります。
自分の所属意識の変化:協力隊を経験する前は「ふるさと宮崎のために」という想いが強かったと記憶しています。しかし、チュニジアに着任し海外から日本を見て、所属意識が「宮崎」から「祖国日本」と変化しました。「宮崎と福島は母国語一緒だし、時差はないし、調味料(味噌や醤油)も一緒だし。」と、何の抵抗も無く引っ越して来ました。
言葉の壁:方言が強い地方なのですが、身ぶり手ぶりでコミュニケーションをとったり、若い人に通訳してもらったり、何の苦痛も感じずに方言の違いを楽しんだり、ツールとして使ったりしています。
見通しの持ち方:物事はすぐに変わらない事を経験したので、結果がすぐに出なくても慌てたり、がっかりしたりしない。燃え尽き症候群にならない精神力が備わったように思います。
市内の資源を見つける、自分がいなくなった後のことを考える:市民に自立した生活を再獲得してもらうためにも、市内にどんな資源があるか、キーパーソンは誰か、誰にどのように伝えれば自分は自然とフェードアウト出来るか、という視点で物事をとらえています。
協力隊の経験がなかったら、ここまでの活動が出来ていたか?いや、そもそも被災地に就職するなんて思いつきもしなかったかもしれません。
「若い世帯が大勢流出した市にOTの私が就職した。」
この事自体が、協力隊の経験が生かされていると断言できます。