開発途上国向けアプリのFacebook Liteから考える途上国医療!
Facebookが開発途上国向けの軽量版アプリをリリースしたことを発表しました。こちらのアプリはローエンドの携帯を有し、ネット環境が十分に整備されて以内顧客向けに、余分な機能を省いたアプリと説明されています。
これは、大変興味深い話です。今回はこの開発途上国向けのサービスと言う視点で、途上国の医療、主にリハビリテーション分野について考えていきたいと思います。
高度な手技・手法は途上国で普及できるのか?
日本の医療の質はとても高いと感じています。リハビリテーション分野について、理学療法の中でも、~法などという一般の方には理解が難しいような手技・手法がたくさん出てきています。これは多くの療法士が試行錯誤し、努力した結果であるということは間違いのないことだと思います。本当に尊い事実であり、誇りに思います。
しかし私自身も一応は専門職でありますが、その手技・手法を理解するまでに多くの時間を要することがあります。もちろん勉強不足と言うことは十分認識していますが、同時に、高度な手技・手法は限定的な人にしかできないもの、ということも感じています。
では何を持って限定的であるか?ということなのですが、その条件を端的に2つ挙げてみます。
¶ ¶ 習得(養成)に時間がかかること 習得(養成)に費用がかかること |
この2点です。これは“普及”ということを考えると、とても大きな問題になります。一般的に医療職が養成されるには、まず国レベルのプロジェクトとして開始されます。誰かの思いつきで始まるわけではありません。
プロジェクトというのは期間や費用が決まっており、その中で効率よく、より良い仕組みを作ることが目標とされます。要するに、期間も費用も決まっているのです。そして、大概が最初にたてた予定通りに進まないことが多いと思います。また費用が足りなくなる、ということもよく耳にします。
そのような状況で医療職の養成、また各医療職が習得されなければいけない技術というのは、あくまでベーシックな技術で、より多くの人間が基本的な手技・手法を身に着けるということが重要になります。
そういう世界では、専門職に理解しがたい高度な手技・手法を普及するのは非常に難しいことが分かります。
では途上国で普及できる、すべき技術とは?
Facebook liteの話は大変刺激的です。しかし日本の大企業でもこのダウングレード版を途上国に普及させたという事例がいくつかあります。
今日はその中でもHONDAのバイクをご紹介します。東南アジアに行ったことがある方はよく分かるかと思いますが、そこら中でHONDAの原付バイクが走っています。本当に皆乗っています。しかも富裕層ではなく一般の方々です。そして2人乗りできる仕様になっています。
現実的なコストで、必要な機能をいれています。この背景にはあることが徹底された結果であるということが分かります。それは“マーケティング”です。医療職である我々は一利用者の希望をもとにニーズであったり、目標を設定することは得意ですが、集団に対しては苦手というか、勉強する機会も、実施する機会もあまりありません。
その場所、地域で本当に必要な技術は何なのか?
それは低コストで、多くの方が享受でき、持続可能なものなのか?
高度な専門職の養成、また高度な技術の教育、これは講師代のコストもかかり、時間もかかり、結果的に広まらず、持続可能なものにならないという恐れもあるわけです。
もちろんできる限り高度なものが普及されるべきですが、現地の資源の基礎体力というべきものも十分に把握された上でそれは選択されなければなりません。
自分が今どこにいて、何を対象にしているのか?
その場面で技術的に最も高いものが提供されることが本当にいいことなのか?
そのためには“適正技術”を考える能力が重要になるのでしょう。適正技術についてはまた機会があれば書きたいと思います。
参考記事
開発途上国向けの軽量版アプリ「Facebook Lite」–アジアを皮切りに提供地域を拡大へ
http://japan.cnet.com/news/service/35065485/