途上国での経験を被災地で活かす。元ドミニカ共和国古澤理学療法士!
職場の概要
2011年12月に成立した「東日本大震災復興特別区域法」に基づき、在宅ケアの質的・量的拡充を図り、病気や障害があっても活き活きとその人らしく、安心して暮らせる社会を目指すとともに地域医療・保健・福祉の向上を図ることを目的に2012年10月「一般財団法人訪問リハビリテーション振興財団」が設立。
第1号事業所として2012年11月福島県南相馬市に「浜通り訪問リハビリステーション」を開設。
2013年4月岩手県宮古市に「宮古・山田訪問リハビリステーションゆずる」、
2014年10月には宮城県気仙沼市に「気仙沼訪問リハビリステーション」が開設されました。
当事業所「宮古・山田訪問リハビリステーションゆずる」の職員は、現在、理学療法士5名、作業療法士1名の計6名で、全員県外出身者です。
ちなみに6名中3名が、青年海外協力隊OB・OGです。
事業所名の「ゆずる」は、地震より発生した大津波から一人では逃げることが出来ない高齢者を助けるために、尊い命を亡くされた理学療法士の名前が由来です。
ゆずるさんの想いを引き継ぎながら、「笑顔あふれるまちづくり」を理念に、職員みんなで頑張って働いています。
被災地特区の訪問ステーションに入職した理由
東日本大震災後、すぐに東北へかけつけたい想いで一杯でした。
しかし、当時勤務していた老人保健施設もギリギリの人数の中、現地に行く事はできず、その時々でやれることを精一杯やることが復興支援につながればと思いながら日々を送っていました。
2013年10月に無事引継ぎを終え退職し、東北行きの準備をしている矢先に親友の病状が進行していることがわかりました。
地元を離れる事を躊躇っている時に学校の同期で協力隊OGである友人から「宮古・山田訪問リハビリステーションゆずる」の紹介を受けました。
事情により急遽2~3ヶ月程手伝ってほしいとの事に親友の後押しもあり、2014年1月から2ヶ月弱で勤務させて頂きました。
老人保健施設で勤務している際は、通所リハと訪問リハを兼務していました。高齢化率30%を超え、医療・介護の資源(特にリハ専門職)が不足した地域で、協力隊から帰国後に入職した際は、地域で唯一訪問リハを行っている施設でもありました(その後は、近隣病院でも訪問リハを開始)。
しかし、老人保健施設の為、担える範囲にも限りがあり、必要な方に必要なサービスを提供できないことに葛藤がありました。
そのような中で、訪問リハビリステーションの構想を知った時は、感銘を受けました。
その後制度化はされず、特区として施行となった事は把握してはいましたが、まさかその特区の事業所で働く事になるとは思ってもいませんでした。
短い期間ではありましたが、熱い想いを持ったスタッフとの出会いや幸いな事に合同研修会にも参加させて頂き、訪問リハビリテーション振興財団の半田一登理事長をはじめ理事の方々のお話を伺う事ができ、大きな刺激を受けました。
また上手く表現できませんが、現地での空気感がその後の私の人生に大きく影響を与えてくれたように思えます。
任期終了後は地元に戻り、親友の体調が良い時には、東北へボランティアに行く生活を送っていました。
初夏に親友が旅立ち、一時時間が止まってしまいましたが、あるご縁のお蔭で前に進めるようになりました。
様々な想いが甦るとともに想いを形にしようと2015年3月に「宮古・山田訪問リハビリステーションゆずる」へ入職しました。
現在、海外経験がどのように活かされているか
以前は、自分の周りにある現実だけの中にこもっていたように思います。
その外側に拡がる世界を知ることで、それまでの常識や当たり前と思っていた事が、大きく覆りました。
習慣や文化、コミュニティの中で大切にしているものなど、中に入ってみなければわからない様々な「流儀」があります。
地域性や関わる方々の立場や想いを踏まえて、融合させること、つなげていくことの大切さを学びました。
また予想出来ないような場面に多々遭遇する中で、想像力とタフさに磨きがかかった気がします。
はじめて足を踏み入れた東北の地で、生活をしながら支援をすることができているのは、協力隊の経験のお蔭だと思います。
職場の魅力
訪問リハは、1人で抱えることも多く不安になりがちですが、当事業所は複数担当制となっており、様々な視点から利用者様のサポートができるとともに自分の学びにもなっています。
また訪問リハだけでなく、介護予防事業や地域リハ研修会、通信の発行等様々な活動を行っています。
行政や他事業所等から依頼を受けることも多いのですが、自分たちで立案・発信をしています。また特区という新たな取り組みの中で、道標となるべく、可能性に満ちた場所です。
特区だからなのか個性的なメンバーが集まっていますが、同じ志のもと頼れる仲間です。
様々な事で自分の思っていた以上に心の整理ができておらず、入職後しばらくして、心身のバランスを崩してしまいました。
管理者をはじめスタッフや財団、地域の方々に温かく見守られ、さりげなくサポートして頂いたお蔭で、微力ながらも頑張ることができています。
また以前にも増して地域から必要とされていることを実感する中で、スタッフ一人一人がしっかり向き合い築き上げてきた大切な土台の上にいる事
ゆずるで働けることに感謝し、頂いたご縁をしっかり紡ぎながら「福幸」に繋げていきたいとの思いで日々を送っています。
訪問リハビリテーションの求人はこちらから。
執筆者:古澤さおり 2004年~2006年までの2年間、青年海外協力隊員、理学療法士としてドミニカ共和国へ派遣された。第2の都市サンティアゴのあるNGOのリハビリ |