協力隊帰国後に講演を行う理由と伝えたいこと。
タンザニアOVの辰巳理学療法士は、日本に帰国後たくさん講演を行ってきました。今回は辰巳さんが講演会で意識していることをまとめて頂きました。
1.帰国後の任国との関わり方のひとつ
JICAボランティアとしての任期を終えて帰国し、あっという間に一年が過ぎてしまいました。私をボランティアとして派遣してくれたJICAはODAの実施機関です。
ODA(Official Development Assistance)は日本語で政府開発援助といい、国が行う国際協力事業です。
簡易に表現すると、JICAは開発途上国政府から問題解決の相談をされたときに、解決策を提案し実行していく、いわゆる日本国と途上国を結ぶ架け橋となっている組織という事になります。
帰国した現在、JICAとのボランティア契約という縛りではなく、元JICAボランティアとして続ける事が出来る日本と任国の架け橋としての活動のひとつとして、想い入れのある任国での経験を伝えていく活動があります。
ですから、依頼があればいつでも話す気概でおりました。
そして有り難いことに、私は帰国後、数件の経験談の講義依頼を頂戴する機会に恵まれました。
2.過去の講演
依頼先 |
場所 |
対象 |
講演時間 |
日本理学療法士学生協会 |
JICA関西 |
神戸大学 理学療法科の学生 |
60分×1コマ |
大学卒業生の研究会 |
四條畷学園大学 |
研究会関係の現役療法士 |
60分×1コマ |
日本理学療法士学生協会 |
JICA関西 |
関西支部会員の大学生 |
60分×1コマ |
理学療法士の友人 |
大阪府枚方市の病院 |
知人の研究会関係現役療法士 |
無制限×1コマ |
JOCA関西 |
神戸国際大学 |
NGO/NPO論受講の一般学生 |
60分×1コマ |
奈良県協力隊OV会 |
OV会指定の会議室 |
奈良在住のOVと一般の方 |
無制限×1コマ |
吉備国際大学 |
吉備国際大学 |
吉備国際大学の学生 地域理学療法学の一枠を頂く |
90分×2コマ |
3.講演内容
経験談を話すと言ってもどんな事を話すのか。折角、お話を聴いて頂くなら、面白かった、任国に興味を持ったと思って貰いたいという想いで資料を作ります。
勿論、依頼された講演時間によって内容や掘り下げの程度は変動しますが、大きく分類すると以下に示すような内容のお話をさせて頂いております。
・ 学生時代と臨床家になってからの自身のボランティア経験 ・ JICAボランティアに参加した動機( + JICAとは?) ・ CBRについて ・ タンザニアってどんな国? ・ 現地での活動内容 ・ 行く前の準備(具体的に良かった点、足りなかった点) ・ 行く前と後での考え方の変化/行く前と後でも考え方が変わらなかったこと ・ まとめ |
内容を搔い摘むと、まず、私は学生時代から理学療法士として海外へ出る目標を持っていました。
そんな中、最新の知見が学べる先進国ではなく、開発途上国での活動に興味を持ち始めたきっかけは何だったのかという話からはじめます。
次に、色々なNGO/NPOや財団、コンサルタント会社等々たくさんの組織や団体がある中で、私が何故JICAボランティアとして開発途上国に関わりたいと思ったかという理由を話します。
そして、任国の医療事情を話すにあたっての任国の文化やインフラ紹介の基礎情報を経て、任国での活動内容の実例を挙げてCBRについてや、症例紹介等に展開します。
最後に、行く前と後での心境の変化と、日本で患者さんと関わるときに大切にしていた事は現地においても変わらなかったという内容を話し、まとめさせて頂いています。
4.講演にあたって意識すること
タンザニアでボランティアとして活動した期間を通して、今まで自分の枠の外に出なければ経験出来なかったであろう数えきれない貴重な経験と、貴重な出会いの数々、そしてそこから学び培ったものは現在の私の大きな財産になって居る事は間違いありません。
しかしながら、だからといって「みなさん、海外は素晴らしいし楽しいから海外に行きましょう」なんて安易で軽薄な事は言いません。
私が講義を通して毎回強調することは、「私は海外が好きで、途上国に飛び込みました。
行動を起こした事で今までに無い多くの貴重な経験が出来、多くの出会いに恵まれました。
皆さんはどんな事に興味がありますか?
私は海外、取り分け先進医療ではなく途上国医療でした。貴方は何に興味があるでしょうか?
貴方が興味を持ったと思う事に素直に飛び込んで行って下さい。
出来るうちに、健康なうちに、たくさんの経験をしてみて下さい。
どんな経験も、きっと自分の進みたい道を定める事に役に立ちます。」というメッセージを送っています。
そして、私もまた現在の枠を飛び越える為に、次の現場への挑戦中です。