JICAボランティアはキャリアアップに繋がらない?

リハ職種でJICAボランティアに行ってもキャリアアップに繋がらないよ。

こんな話をちらほら耳にすることがあります。

個人的には、途上国での経験は一般的なキャリアアップ(高給になること、地位をたかめること)のためという考え方より、自分の生きるスタイルを確立するためのキャリア(経験)と考えることが大事だと思ってます。

JICAボランティアに参加したからと言って、安易に就職で優遇されたりする事を期待してはいけません。

そして、そういったことをキャリアの柱として考えて協力隊に行くのもあまりお勧めできません。

なぜなら、その目標を達成するのは極めて難しいからです。

よく考えてみると分かります。

リハ職種であれば、協力隊OB、OGのキャリアアップの代表例として大学や専門学校の教員と言う選択肢がありますが、

しかし、それには限りがあります。

学校にも限りがありますし、そしてこれから少子化が進んでいく時代です。

また、病院や訪問看護・リハSTという選択肢があります。

一般的に社会保障費が削減される中で、給料が上がりづらい時代です。協力隊だからと言って優遇されるケースは正直少ないでしょう。

協力隊に行ってもキャリアップなんで無理では…?そう考えるかもしれません。

が、しかし、悲観する必要は全くありません。

繰り返しになりますが、途上国でのキャリア(経験)は、生きていく上で、自分自身のスタイルを洗練していくための大きな財産となるからです。

それは、

“幅広い異国の地だからこそできる経験”

“自分が生きていく上での新しい価値観”

“現地人から受けるハングリー精神”

など様々なものです。

よくある話ですが、途上国に行くと、貧しいけどもいつも笑っていて、何だか精神衛生上、ともて健康的な現地の方を見かけます。

それとは対照的に、市場などに行くと、何か生々しい人間の生命を感じることもあります。

また若い人からは、これから何かを成し遂げようという、熱い、みなぎる力を感じることもあります。

そういった人たちと一緒に生活をして、仕事をして得られるものというのは、

“知識”ではありません。

ましてや、誰かに教えてもらえるものでもありません。

教科書に書いてあることでもありません。

自分自信の生きた経験なのです。

こういった経験は、世間でいうキャリアアップには繋がらないかもしれませんが

(*最近は考慮・優遇する自治体、企業なども増えていますが)、

自分がどうやって生きるかというスタイルを確立する上で非常に重要なものとなります。

様々な価値観にふれて、異文化で生活した、いわばサバイバル能力とでも言えるものでしょうか。

そういった経験を経て、進学、留学、移住、起業、就職などと、様々な選択肢を選んで、自分で道を切り拓いていきます。

私の周りでは、

留学、30代からフルタイム進学、自主企画の立ち上げ、移住、NGOなど、なかなか普通に日本の医療機関などで働いていたら考えないであろう選択肢をとる人もいます。

対照的に、帰国前と同じように病院などで働く人も多いです。

また、本業に加えて被災地支援などのボランティアに積極的に参加する人も多いです。

どの選択も正解か不正解かは分かりません。

本人自信の経験から導き出された答えであって、誰かと比較できるものでもありません。

本人のみぞ知るといった所でしょうか。

その選択は一般的なキャリアに繋がっていなかったとしても、

多様性を受け入れて、自分で道を切り拓ければ、

“これが私のスタイルです”

と胸を張って言えるのではないでしょうか。

人生の経験と言う意味では、十分なキャリアアップの機会になると考えています。

執筆者:小泉 裕一 理学療法士

リハレポ運営代表。青年海外協力隊員として2012年6月~2014年6月までモンゴルに派遣されていた。帰国後は離島に移住し生活する傍ら、様々な企画を手掛けている。

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