リハレポ180号 現地の方にかけられたあの一言 ベトナム平島OT
Xin chào các bạn!!(シンチャオカックバン)こんにちは。今回はベトナムから作業療法士の平島がお届けいたします。
こちらに来てもうすぐ1年が経ちますが、私にとって今回の協力隊への参加は、初めての現地にどっぷり浸かった海外経験となります。この1年でたくさんの現地の人との出会いや別れ、彼らと共に様々な経験をすることが出来ました。
今回のテーマは『現地の方にかけられた一言』ということで、私のエピソードを少しご紹介させて頂きたいと思います。
現在、私が活動している配属先はベトナムの首都ハノイにありますバックマイ病院というベトナム北部最大の総合病院です。総病床数は約2000床、年間外来患者数は約10万人、21の診療科があり、病院内はスタッフ、研修生、患者さん、家族で常に混雑しています。
活動場所はその中にあるリハビリテーションセンターとなります。私が初めに抱いていたボランティアのイメージとはかけ離れ、設備も物品も充実しており、ここはベトナムの医療やリハビリの最先端を担っていかなければならない場所です。
初期の頃は、完全に出来上がってしまっている組織と規模に「自分がここに入ってきた意味があるのだろうか?」、「ここで2年間何ができるのだろうか?」と困惑する日が続いていました。そして同僚とも患者さんとも簡単なコミュニケーションすらうまく取れない私は、同僚にとってはただのお荷物なだけだと悲観的になっていました。また、同僚たちのリハビリのやり方やシステムに疑問を持ち、悪いところばかりが見えている時期もありました。
どんどん気弱になり縮こまっていく私に、一人の同僚が「僕は作業療法について知らない事ばかりだ。そしてベトナムは、まだまだ遅れている。僕は発展している日本の作業療法について興味があるし、いろんなことを教えてほしい。由佳は日本の作業療法のスペシャリストだからいろんな知識・技術を教えてくれることをとても楽しみにしている。」と、とても分かりやすく説明してくれました。
彼は理学療法士ですが、(ベトナムでは理学療法しか養成校がありません。)作業療法への興味が強く、現在は病院内で作業療法士として働いています(今は数か月の研修に出ていますが)。ベトナム人はプライドが高いと聞いていましたし、彼は私より何年も経験年数が長く、彼から見るとひよっこの私はそのように言われた時、驚きました。
そして後ろ向きだった自分が恥ずかしくなり、このように思ってくれている同僚が一人でもいることが非常に有難いことだと感じ、まだまだこれまでの経験は少ないけれども、日本でやってきた分野を生かしてこの場でできることを地道にやっていこうと思うことが出来ました。
また、ベトナムに来て感じたことですが、この国は有難いことに親日国で、日本に対する信頼が非常に熱く、「日本人は素晴らしい」「日本の技術も製品もとても信頼している」と多くの人が言ってくれます。そして彼も同じように日本のリハビリに対して信頼を抱いてくれています。私は作業療法の専門家であると同時に日本というブランドを背負っているということを忘れてはいけないとこの一言から学びました。
1年経ってもまだまだ出来ないことも多く、未熟で気弱な自分にしょっちゅう落ち込んだり、辛く感じることも多いですが、難しい部分は経験のある彼らに助けてもらいながら、あと1年ちょっとの時間で少しでも彼らやこのセンターの役に立てることをやっていければと思います。
それでは今日はこの辺で。Tạn biệt(タンビエット)