野口OTによるキルギスの街の福祉事情!

Кандайсыз?(カンダイスゥズ?)お元気ですか?キルギスから作業療法士の野口がお届けします。

はじめに、キルギスでは社会保障サービスという言葉が存在し、法律で正式に定められています。それは“社会保障サービス法”と言い、サービスを必要とする方々に対した内容でまとめられています。それでは、キルギスの社会保障サービス法の一部を紹介したいと思います。

キルギスが定めている社会サービスの対象者は、障がい児・者、障がい児の家族、政治的弾圧を受けた人、第二次世界大戦中に捕虜だった人、非行青少年、被虐待児、ひとり親、10 代の親、低所得者、薬物アルコール依存者、難病・HIV 患者、刑務所で刑期を務めている人、住所不定者、放射能事故の被害者の方々です。これらは、いわゆる最低限度の生活を送ることが困難な方々で、ひとつひとつの細かな政策は違うにしても、日本に存在する“生存権”と同様に感じられます。

そして、この法律には“社会福祉施設”という項目もあり、その中には常設、半常設、非常設といった、役割分担が施設によって設けられています。常設は、建てることを義務付けられており、高齢者・障がい者のための入所施設、障がい児・孤児のための学校付き入所施設として、位置付けられています。半常設は、障がい児・者のための通所施設、家庭訪問支援センター、障がい者のための社会復帰センターなどで、非常設は、心理的援助のセンター、独居高齢者のための施設などとして、位置付けられています。その他の項目には、一時入所施設、相談支援、リハビリテーション、年金、住宅補助、就労支援など、様々な取り組みが国の政策のひとつとして存在しています。これらもまた、日本と同様にサービスを必要とする方々のために存在し、最低限度の生活、社会への参加ということが感じられます。

法律の一部だけではありますが、正直な私の感想としましては「途上国でここまでしっかりしたものがあるのか!」と感じました。このように感じた理由は、やはり街の状況、ホームレスの方、物乞いをする子ども・障がい者が、私の中で勝手に「ずさんなサービス体制なんだろうなぁ。」と感じさせていたのだと思います。

冒頭でも述べたように、キルギスには社会保障サービス法が存在します。しかし、法律上では定められているものの、インフラ整備など物理的な問題、国の経済的な問題などからサービスを利用したくてもできない方が多く存在していることが現状です。サービスを展開していくためには、これら根本の解決が必要となり、それは同時に国自体の成長も必要不可欠であるとも言えます。しかし、サービスを必要とする方々は、今現在を生活しており、国の成長を待つなど悠長なことを言っていられません。限られた支援・サービスにどうすれば適応できるか、その中で本当に必要な物は何なのか、それらを一緒に考え見つけて行くことこそ、私たちセラピストの役目かもしれません。

それでは今日はこの辺りで。Саламатта калыңыз!(サラマッターカルングズ!)さよなら!

第3回キルギス野口①第3回キルギス野口②

 

第3回キルギス野口③

第3回キルギス野口④

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