協力隊帰国後に大学病院に就職した森下OT
17年度1次隊作業療法隊員としてドミニカ共和国の首都サントドミンゴで活動していました森下(旧姓藤田)賀子です。今回は「研究」というテーマで紹介させていただきます。
私の任国でのJOCV活動を簡単に紹介します。私はリハビリセンターに再新規で派遣されました。私が赴任した当時は、任国の大学にOT学科が新設されて3年目の時で、同僚と数名のOTが夜間大学で作業療法を学んでいました。しかし、大学には作業療法士の先生はおらず、整形外科医とPTが同僚たちを指導していました。授業やレポートの内容はPTの補助的な内容になっており、このままではこの国の作業療法は無くなってしまうと私は危機を感じました。そこで大学の先生の了承を得て臨床実習の指導や卒業論文の手伝いをしました。また若いスタッフのためにリハセンターにある治療器具を用いた訓練マニュアルを作製しました。そして国内各地の支部にOT部門があったので訪問指導も行いました。
とても充実した2年間でしたが何かやり残した感じがしていました。赴任当初に感じていた「障害者が自分たちの生活や置かれている環境についてどう思っているのか?」という点にきちんと向き合えていなかったと気付いたのです。赴任中、何度か彼らに「何をしている時が楽しいか?」等の質問をしたのですが、いつも明るい彼らはこういった質問では号泣してしまい、いつの間にか私はこの質問をすることを避けていたのです。
そこで私は帰国後大学院に入り、もう一度ドミニカ共和国に行きQOL調査をすることにしました。元同僚が施設に掛け合ってくれたり、後任Voがスペイン語版のQOL調査票を探してくれたりと皆さんの協力で103名にインタビューをすることができました。またドミニカOTはどんなふうに障害者のQOLを考えているのかという調査を並行して行いました。大変だったことは、高齢の方はサインが書けなかったり、難しい言い回しのスペイン語では意味が通じなかったりするため、同僚が傍にいて私のスペイン語をドミニカのスペイン語に通訳をしてくれ、その答えがドミニカ方言で分からなかったりすると、対象者のスペイン語を私の分かるように簡単なスペイン語に通訳し直すということでした。大変だったのは同僚だったかもしれません。
その結果は、第一弾として昨年の日本作業療法学会で報告し、第二弾は今年の世界作業療法学会で発表予定です。結果について簡単に紹介すると、この国では障害者に適した仕事がないということ、地域による教育の格差があり、それがQOLの格差に結びついていることが分かりました。詳しく知りたい方は学会会場でお会いできれば嬉しいです。またご連絡いただければ詳細をお伝えします。
Hasta la vista!