水谷PTによるキルギスのコミュニケーション事情 

Кандай турасыз?(かんだい とぅらすず?)調子はどうですか?キルギスから理学療法士の水谷がお届けします。

キルギスの人々は、挨拶をするときは、たくさん質問し合います。電話でも、はじめは質問攻めです。
家族・友人・親類・同僚・仲間・知り合い、誰とでも、はじめましてでも、質問攻めです。

「かんだい(元気)?」「でんそーるぐん かんだい(健康はどう)?」「いしゅてりん かんだい(仕事はどう)?」「うぃぶろん かんだい(家族は元気)?」「えむね くるわたすん(何してるの)?」「えむね じゃんぐるっく(最近どう)?」・・・の応戦です。

更に、私たち日本人に対しては、「くるぐすたん じゃくとぅぶ(キルギスは気に入った)?」「あたえねん ばるぶ(両親は無事/どこにいるの)?」「やぽにあ じゃくしゅぶ(日本はどう)?」「かんちゃんちじゅるくーすん(何年生まれ)?」「ぐよーん/あやるん/ばるだるん ばるぶ(夫/妻/子どもはいるの)?」「くるぐすが てぃーべいすぃんび(キルギス人と結婚しないの)?」・・・お決まりのパターンです。

初対面で、年齢や家族構成はおろか、なぜ早く結婚しないのか?などとも訊かれるのに最初は戸惑いましたが、最近はこちらからも質問している自分がいます。
そして2011年の東日本大震災のことを心配して、今は大丈夫なの?と訊いてくださる方も多いのはありがたい限りです。

挨拶が大切なキルギス、これだけ質問し合えば、すぐにコミュニケーションが拡がります。お互いの家族のことや生活のことも知っているので、何かあればすぐに話が通じるし、すぐに助け舟を出し合います。今は携帯電話が信じられないぐらい普及しているので、出会って間もなくに番号交換して繋がりができるのも驚きです。良い意味でも悪い意味でも、コネクションが大事なこの国では、携帯電話というツールは無くてはならないものになっています。かといって、すぐに電話で何でも尋ねるので、いつどこでも電話が鳴るし、書類や地図・案内板などをあまり見もしない点には、少々(?)困りますが。

こちらに来て9ヶ月が経ちましたが、なるべく色々なイベントや集まりには顔を出し、混ぜてもらい、教えてもらい、いっぱい色々な人とお話しすることを楽しんでいます。活動のはじめはコミュニケーションをとること、信頼関係を築くことに重きを置き、とにかく周りの人に合わせて動いていました。キルギスの人々の暮らしぶり、考え方、働き方、ものの見方、人間関係のあり方、喧嘩したときの様子、地元や家族の愛し方、地方による伝統の違いや、ロシア・ソ連との関係の捉え方。たくさんのことを感じています。

コミュニケーションといえば、言語が大きな役割を占めますが、キルギスでは3,4ヶ国語を自由に扱える人が少なくありません。他民族国家の共通言語・公用語としてロシア語が広く用いられ、国語のキルギス語を話せない人々もいます。国としてキルギス語を主に使っていこうという動きが出ていますが、どう変化していくのでしょう。はじめは、2言語のバランスに違和感を覚えましたが、暮らしていて自身の意見が定まらなくなりました。ふと考えてみると、多くの国では母語のほかに英語を学び、以降の教育は英語で受けていくのです。それがここではロシア語なだけ・・・そう思うと、ロシア語が主流になっている現在も間違いではないように思うのです。

しかし、隊員としての活動のため、訓練主言語としてキルギス語を学んでいる身としては、ロシア語の学習は大きな課題です。配属先の同僚や関わる患者さん親子の大多数はキルギス人なので、普段はキルギス語だけ喋っていますが、ロシア系やドンガン系の患者さんとはロシア語を用いなければなりません。身振り手振り、カタコト単語を並べて、時には図を描いて、やりとりしています。
それでも、一生懸命に聴いてくれるお母さんたち、そして素敵な笑顔を見せてくれる子ども達といると、もっともっと頑張らなきゃなーと元気づけられています。

それでは今日はこの辺りで。Жакшы тургула!(じゃくしゅとぅるぐら!)元気でいてくださいね!

第4回キルギス水谷②第4回キルギス水谷①

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