リハレポ149号 途上国へ来る前に勉強しておけば良かったことは? タイ西崎PT

ทานข้าวแล้วหรือยัง(ターンカーウレーウルーヤング;ご飯はもう食べましたか?)

こんにちは、タイから理学療法士の西崎がお届けさせて頂きます。私は現在バンコクから北に約60kmのパトゥムターニー県にある高齢者社会福祉開発センターという施設で活動しており、活動を開始してから約3ヶ月が経過しました。

さて、今回のテーマ「途上国に来る前に勉強しておけば良かったこと」ですが、この3ヶ月間で私が感じたものは大別すると2つあります。まず1つは趣味・特技をもっておけば良かったということ。2つ目は診断学や救急対応についてもっと勉強しておけば良かった、ということです。

まず1つ目の趣味・特技についてですが、タイの方々は娯楽を凄く大切にします。特にカラオケとダンスが大好きで、私の施設でもスタッフ・訪問者・利用者の方々がほぼ毎日行っています。私が活動している施設は「身寄りのない高齢者」ということが入所条件であり、利用者によっては身体能力も高く、ダンスも平気で行えてしまいます。そのような施設で、活動開始日にスタッフから最初にされた要求は「理学療法以外に特技は持っているか?もしくはカラオケとダンスは得意か?日本の歌を聞かせてくれ」というものでした。恥ずかしながら、これといった趣味・特技を持ち合わせておらず、歌も苦手な私は、「理学療法を頑張ります」と話を反らすことしか出来ませんでした。タイで働く以上は、その国の人々の価値観や期待に応えることが重要であり、何か一つでも職場の方々を楽しませることの出来る趣味・特技が必要だったな、と痛感しています。

2つ目の診断学・救急対応に関してですが、私の施設には看護助手は常勤していますが、看護師は在籍しておらず、医師が定期的に当施設を訪れることもない様です。私が活動を開始して間もなく看護助手からある利用者のリハビリを依頼されました。その利用者に対する看護助手の説明は、「転倒してから2~3週経ってもまだ腫れも痛みも引かないからリハビリをして欲しい」とのことでした。診察もレントゲン撮影も行っておらず、簡単なスクリーニング検査から開始した所、骨折の疑いが強く、看護助手に検査結果とレントゲン撮影の必要性を説明したところ「私の経験ではこの人は骨折していないから、レントゲンも診察も必要ない、いいからリハビリをしてくれ」といった返事が返ってきました。結局私の意見は聞き入れられず、固定の道具すら得られず、その利用者には申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、消炎・鎮痛処理のみを行うという結果になりました。また、私の施設ではスタッフ数の不足から、利用者同士での介助が日常的に行われており、危険な方法での介助が繰り返され、被介護者は日々高い転倒リスクに晒されている状態です。前述の骨折疑いの話に関してもそうであるように、私の施設の人々にとっては、エビデンスや技術・知識はあまり重要ではなく、結果と経験だけが判断材料にされているように思えます。このような施設で生活する利用者に少しでもリスクの少ない生活を送ってもらうためには、私自身が目の前の利用者に何が起きていて、どのようなことをすべきなのかを高いレベルで判断することが必要とされ、診断学・救急対応についての深い知識が必要であると思いました。

現在は、趣味・特技の模索と診断学についての勉強を始めています。

今はまだ、私の話に耳を傾けてくれるスタッフはごく少数ですが、まだ活動は始まったばかり、焦らず地道に努力を続けていくしかないのかなと思います。

それでは、今日はこの辺で。โชคดี(チョークディー)さようなら

149タイ西崎 149タイ西崎②

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