水谷PTによるキルギスの街の福祉事情

Кандай жаңылык?(かんだい じゃんぐるっく?)最近どうですか?
キルギスから理学療法士の水谷がお届けします。

同期の作業療法士・野口さんから、キルギスの社会保障サービスについてお伝えしました。
法律の名前や枠組みは、一見とても立派に感じられます。旧ソ連時代に、ロシアのスタイルで作られた様々な制度や手続きの仕組みは、果たして現実の現代キルギスにどれだけ活きているのでしょうか・・・。

ここ数年、障がい者のことをDisabledなどではなく、障がいのある人Persons with Disabilitiesと定義づけるように決まったと言われていますが、実際にはInvalid(肢体不自由、廃疾者)という言葉がまだまだ使われています。政府は差別を認めず、社会への包括的参加を推進すると宣言しており、近年「キルギス共和国における給付金制度」の改定に伴い障がい児者年金の手当額が見直されました。
また、障がい児者や困窮した家庭の子どもは、施設入所を強いられるのが常でしたが、その施設数や分布が需要に即していないことや、そもそも学校や病院などの公共施設も老朽化が進んで安全性が保障されないことなど、物理的な問題や課題は数えきれないと感じています。

本年3月時点でキルギスの人口は57.7万人、障がいのある人は15.5万人(26.8%)といわれ、そのうち2.6万人(16.8%)は18歳以下と公表されました。このことはキルギス語のニュースでも特集記事が組まれ、とくに地方や村では障がいのある人にとって暮らしにくいこと(差別・偏見、病院など医療機関へ行けない)や、教育・就業・法制度といった大きな課題があると訴えていました。

先述のように、旧ソ連の体制時に作られた法制度や社会保障サービスの種々は、残念ながら現実に即しているとは言い難く、かといってそのことに現地の人々がどれだけ関心を向けているのか、わからなかったのです。そんな折に、この記事は、問題視している人がいること、そして今後なんとかしようという動きが少しでも増えることに期待を寄せられるキッカケとなりました。

さて、では本当のキルギスの姿はどうなのでしょうか。

首都ビシュケクには、入所施設のほかに障がい児者の通所施設がいくつかあり、送迎バスもありますが、一度とある送迎バスに同乗させてもらったときには、「いったい何人が乗るの!?」「えっ、そんな方法で乗せるの?!」と驚きの連続でした。街中で車いすユーザーなどの障がい者を見かける機会は少なく、いても車道の真ん中で物乞いをしている人などで、いつも心が痛みます。

現地の人々の足は、通称マルシュという乗合バスです。近距離も長距離も、15~20人乗りのワゴン車でガタガタびゅーん!高齢の方や障がいのある方が乗り降りする際には危なっかしくもありますが、周りの人がすっと手を貸す様子が見られ、心が温まります。また、ここに来て何より誇りだと思うのは、若者が躊躇せず席を譲るところです。

街でも村でも、いつどこでどのような穴に落ちるかわからないのがキルギスです。他の皆さんも書かれていたように、こういった物理的なバリアから家にこもらざるを得ない人が大勢おり、認知されず支援が届いていない人も少なくありません。地域差が大きいこと、知識・理解が足りないゆえに立ちはだかる壁がいくつもあること、でも家族・親戚・友人など「ひと」が最大の力になっていることも、また他国と共通していることです。

それでは今日はこの辺りで。Аман эсен болуңуз!(あまんえせん ぼるんぐず!)ご無事で!

第3回キルギス水谷①

第3回キルギス水谷②

 

第3回キルギス水谷④

第3回キルギス水谷③

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