スリランカで協力隊として2年間どんなことをしてきましたか?小野PT!

ආයුබෝවන්.(あーゆぼーわん)!こんにちは。2012年9月から2014年の9月までスリランカのアヌラーダプラ県ラージャンガナヤ郡で活動していた、理学療法士の小野がお届けします。

今日は、2年間でどのような活動をしていたのかを具体的に紹介したいと思います。

私はスリランカ国社会福祉省のCBR(Community Based Rehabilitation)ユニットという部署に所属し、ラージャンガナヤ郡の群事務所で社会福祉担当官の下に派遣されました。CBRというのは地域の障害者を地域社会全体で支援する活動です。そのCBRプログラムを社会福祉省が主導して実施しており、ラージャンガナヤ郡は2007年からJICAがラージャンガナヤ郡のCBRを支援していました。現在も任地にはCBRを支援するために複数の職種のボランティアが派遣されており、私はその中で3代目の理学療法士として活動をしていました。

要請の目的は、社会福祉担当官やCBRボランティアと呼ばれる住民ボランティアの医療的な側面の知識・技能向上や、障害者家庭を訪問しリハビリテーションの提供を行うこと、それに伴い医学的な側面から様々なアドバイスを行うことなどでした。私は回復期リハビリテーション病院の経験はありましたが、地域の障害者支援に関しては知識がありませんでした。語学も活動も新しく学ばなければならないことだらけだったので、今振り返ると悪戦苦闘の毎日だったと思います。

その中でCBRボランティア対象のワークショップの実施・家庭を巡回しての理学療法の実施・病気予防の啓発など、活動に慣れていく中で勉強させて貰い、自分なりの視点を作り上げていきました。その中で分かったことは、社会福祉省のCBRプログラムは課題が多くあるため、現段階では医療的な側面の支援に人材・資金を振り分ける余裕が無く、理学療法士としての知識を現地の人材へ伝達することが非常に困難であるということでした。私の活動で現地に何かを残すとしたら、スリランカの医療を担当している保健省と繋がらなければならないと感じ、活動範囲を拡大させ情報収集と人脈作りをしていきました。

保健省側のリハビリテーションの現状や地域ごとのCBRとの関係性などを調査し、報告書としてまとめながら、社会福祉省の上層部へ保健省と連携を取っていく必要があることをアピールしていました。しかし、行政組織はそう簡単には動きません。その中である時、首都にあるPT・OTの養成学校の校長先生と仲良くなることができました。
「今出来上がっている組織を外側から変えることは難しいけれど、CBRなどに興味を持ってくれる学生が少しでも増えたら、いつか内側から変わるのではないか?そうした変化の後に社会福祉と医療が連携できれば地域の障害者のメリットになるかもしれない。」と考え、学生対象のワークショップをさせてもらえ
るよう話をしました。そして、スリランカの他セラピスト隊員の協力もあり、実施をすることができました。

今、活動を終えて落ち着いて考えると、自分なりに活動を発展させたいと考えた時に後押しをして下さるスリランカのJICA関係者やカウンターパートを中心とした現地の方々に囲まれていた2年間は、とても運が良かったのだろうと感じます。活動を通してスリランカの何かを変えられたような気はしません。けれど、自分自身はとても貴重な経験をさせて貰えて成長できました。

協力隊生活で関わって下さった全ての人に感謝を申し上げます。
では、ආයෙත් හමුවෙමු(あーいぇっと はむうぇむ)!!また会いましょう。

スリランカ小野さん

 

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