協力隊帰国後に教員としてPNGの経験を伝える米本PT
平成21年度3次隊(2010年1月〜2012年1月)までパプアニューギニア(PNG)、ブーゲンビル自治州のブカ総合病院で理学療法士として活動しました、米本竜馬と申します。
私の主な活動は、入院と外来の患者さんへのリハビリテーションサービスの提供と現地障害者支援NGOと協力してのアウトリーチ活動でした。また、臨床実習の学生指導、車椅子や松葉杖などの機器の入手と配布なども行いました。
その他には医学会やPT協会の総会への参加、JICAの制度を活用して、2回の大洋州リハビリ領域広域研修への参加と主催なども経験しました。
活動の中で最も難しかったことは、文化や価値観の圧倒的な違いが存在したことでした。現地の方々のQOLをどのように捉えゴール設定をどうするのか。結局、この問いに対する納得できる答えは、帰国するまで見つけられませんでした。
帰国後の進路についてですが、現在は神奈川県にあります、茅ヶ崎リハビリテーション専門学校の教員をしております。他の隊員や現地の人々との交流、自分の活動などを通して、教育というものは社会にとって重要な鍵となるということを実感しました。このことから、帰国の半年ほど前から教育に携わる仕事をしたいとなんとなく考えるようになりました。
教員の仕事としては至って普通に授業をしているつもりですが、合間にはPNGのことをよく話します。学生にとっては想像外の世界だと思いますが、どんなところでもリハビリテーションの知識と技術は活用できるということを知ってもらいたいと思っています。そして、彼らに広い視野と今彼らが学んでいることに対する強い興味と関心を持ってほしいと考えています。
PNGでの経験はとにかくインパクトが有りました。学生たちに話しても、ぽかんとしてしまうか、笑ってしまうことがほとんどです。しかし、患者さんとセラピストがどう関わるのかという点においては共通点もあります。そんな話の時、多くの学生は真剣に聞いてくれます。日本との圧倒的な違いと共通点、この両方を経験出来たことは、今の仕事に活かされているのではないかと感じています。
まだ教員になって2年です。今後はもっともっと自分の専門性を高め、それらを分かりやすく伝える技術を身につけたいと思っています。学生が将来、それぞれの場所で、確かな技術と知識を持って患者さんに最善を尽くせる。彼らがそんなセラピストになれるように、教員活動に取り組んで行きたいと思っています。