協力隊帰国後にマヒドン大学でMPHを取得した渡辺PT

初めまして。協力隊OBの渡辺と申します。私は現在、タイ国マヒドン大学のアセアン保健開発研究所という所でプライマリーヘルスケアマネイジメントの修士課程に籍を置いています。この1年のコースは、元々1982年にJICAがアセアン保健開発研究所をマヒドン大学に作り、当時東南アジアで特に必要とされていたプライマリーヘルスケアを学ぶコースとして設立されました。これまでに34カ国から述べ633名の卒業生を輩出しています。公衆衛生の現場で行政職として働くためのプログラムというのがコンセプトで、公衆衛生学の内容を幅広く学ぶ内容です。そのため講義では疫学、生物統計学、環境衛生政策、社会学、プライマリーケアなど多岐に渡ります。

きっかけはネパールでの協力隊経験。ネパールはエベレストを始めとする世界有数の山岳地域であり、かつアジア最貧国。協力隊経験者なら誰もが経験する途上国での限られた医療資源と財源、病院へのアクセス不良等、簡単には解決できない問題に対する無力感。

理学療法をいくらやっても状況は進展しないもぐら叩きの日々。まずは疾患の絶対数を減らさなければいけない。そういう思いから次第に患者個人に対する視点から、コミュニティという単位に対する予防的アプローチへ関心を持つ様になりました。

実際に大学院で学んでみて疫学や生物統計学といった公衆衛生がこれまでの医学の基礎を築いてきたことを知りました。例えばなぜ高血圧が脳梗塞の原因であるとか、たばこが肺がんの原因であるとか、こういった誰もが知ってる常識は実は疫学による統計学的な裏付けが成されるまで誰にもわからなかったことだそうです。同様に現在タイや途上国が抱える様々な問題(HIV、同性愛、薬物、移民問題、感染症、交通事故、人身売買、母子保健、高齢化、社会保障など)を統計学的に研究していくことは、丁度子供が地球儀を見て初めて地球の形状や大陸の位置関係を理解する様に、これまで目に見えなかった問題や解決の糸口を顕在化させることに繋がるんだと私は思います。

これまで理学療法士としてミクロの視点から患者の問題点を捉えてきましたが、マクロの視点からコミュニティを評価して疾患を予防する、公衆衛生の概念に触れられたことは私にとって大きな収穫でした。今後はCBRや地域理学療法においてもこうしたコミュニティに対するアプローチが重要になってくるだろうと思います。

最後にタイで1年間暮らして、本当に良かったと思います。気候は暖かく自然も綺麗、人は親切、ご飯は美味しい。またアジアを中心とする多くのクラスメイト達との出会いは一生の財産になりました。興味がありましたらホームページをのぞいてみて下さい。http://www.mahidol.ac.th/en/faculties.htm

渡邊PT①

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